2010年12月21日火曜日

【ブログ】結婚が消える時―米国の「結婚格差」事情

バージニア大学のナショナル・マリッジ・プロジェクト(NMP)が最近発表したリポート「結婚が消える時:ミドル・アメリカの結婚からの撤退」は、高学歴と中程度の学歴を持つ米国人の間で生じている「結婚格差」の問題を探っている。(このリポート以前には、タイム誌とピュー・リサーチ・センターによる共同調査が行われ、40%近くの米国人が結婚は古いと考えているとの結果が示された。)

 NMPの調査結果のなかでも最も驚かされるのは、高学歴(大学卒業)の米国人の間で結婚制度がますます盤石になっていると思われるのに対し、中程度の学歴(高校卒業)者は「結婚に対する信頼を失い」、結婚の「結びつきの質が低下」している、とプロジェクト・ディレクターのW・ブラッドフォード・ウィルコックス教授は言う。非嫡出子や離婚の比率は、高卒よりも大卒の方が少ない。

 では、未婚者にとって何が問題なのか?ウィルコックス教授によると、出産と結婚の「交差」が問題なのだという。近年、平均結婚年齢はじりじりと上昇を続けているが、出産年齢はそうではない。非嫡出子が増える一方で、未婚カップルは同棲を解消するかもしれない――この状況について、ウィルコックス教授は「子どもにとって危険な状態となり得る」と指摘する。

 昔、結婚と子供を設けることは、大人の仲間入りを意味していた。しかし、今や結婚は、教育の目標やキャリアを形成した後に得る「頂点のようなもの」だと教授は言う。

 リポートによると、結婚前に同棲する女性は全般的に増えている。しかし、高学歴女性の55%は避妊を行っており、中学歴(35%)、低学歴(19%)よりその比率は高い。

 一方、中程度の学歴の世帯は、高学歴よりも非嫡出子を設ける比率がかなり高まる。2000年代後半、高学歴者の非嫡出子の比率はわずか6%だったのに対し、中程度の学歴の母親から非嫡出子が生まれた比率は44%、低学歴は54%だった。また、両親とともに暮らしている14歳の女の子の割合は、高学歴の母親を持つ場合が81%に対し、中程度の学歴では58%、低学歴では52%だった。リポートには、国立健康統計センターと総合社会動向調査の統計が利用されている。

 多くの評論家がこういった調査結果の意味についてすでに論じ、結婚制度の存続性や「文化戦争(culture war)」に対する影響について分析している。(ニューヨーク・タイムズのコラムニストは、「高学歴のアメリカ人は、文化的にはリベラルながらも古き良きアメリカを象徴する理想的な核家族で暮らす。一方、ミドル・アメリカは伝統的な価値を守りつつも、思うようにはいかない」と書いている)

 最近のニューヨーク・タイムズの記事によると、フランスでは、結婚を避け、シビル・ユニオン(連帯市民協約)を選ぶ若いカップルが増えている。読者はこのような流れをどう考えるか。
by N.O
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