2012年5月30日水曜日

豪政府と鉱山会社、米国で初の求人活動 熟練労働者確保で

2012年 5月 25日  12:16 JST ウォール・ストリート・ジャーナル




【ヒューストン】白いカウボーイハットとジーンズ姿で口髭をたくわえたデービッド・ウェードさんは、ヒューストンのマリオット・ホテルに乗り込んでいった。彼はテキサス州アルビンに住む65歳の配管工で、オーストラリアでの仕事について説明を聞くためだ。
オーストラリア政府と資源・鉱山会社グループが主催した招待者限定の求人フェアは、米国では初めての求人活動だ。オーストラリア政府は手続きを迅速化するため、米国で労働者技術を認定することに同意した。求職者に8700マイル離れたオーストラリアにわざわざ行ってもらわなくていいことにしたのだ。
こうした米国での求人活動は、オーストラリアの一部労組幹部を怒らせている。彼らは「政府は失業者をオーストラリアで訓練すべきだ」と主張している。しかし職を求める米国人たちには歓迎された。資源大手リオ・ティント、建設大手ジョン・ホランド、鉱山大手ボート・ロングイヤーといったオーストラリア有数の企業に雇われて10万ドル単位の給与を獲得できるからだ。それもブルーカラーの仕事がしばしばだ。

ウェードさんはヒューストン南方にある人口2万4000人の町アルビン周辺でピックアップトラックを運転中、ラジオでこの求人フェア開催を知った。参加登録者数は2600人に達したが、必要とされる技術を持ったわずか650人が招待された。ウェードさんはそのうちの一人だ。ウェードさんは現在、天然ガス・石油・化学会社の請負労働者で、オーストラリアで働くと年収17万ドル(約1360万円)以上になるだろうと述べた。1米ドルは現在1.03豪ドルだ。
有資格労働者、つまり熟練労働者は、どの鉱山会社にとっても確保が大変で、とりわけ中国の製鉄会社向け鉄鉱石の最大の生産国オーストラリアでは深刻だ。鉱山会社は、現在の生産削減期間中でさえ、オーストラリアの荒涼とした辺地で働こうという熟練労働者を十分に確保するのが難しい状態だ。年間10万ドルを超える給料でも難しいという。鉱山業界は2020年までに新規労働者が8万6000人必要だと推定している。
米国は伝統的に、熟練労働者移民を海外に送り出していなかった。しかし失業率は8.1%で、オーストラリアの4.9%を大幅に上回っている現状で、出稼ぎしようという米国人が増えている。
48歳の大工で現在失業中のグレッグ・ギルバートさんは「米国では職探しは本当に難しい」と述べた。彼は求職中、ガルベストンの娘のアパートに同居している。ラファト・アルナカシュさん(49)は2010年にイラクからヒューストンに移住し、土木工学の学位を取得した。彼は専門分野で仕事が見つからず、「ホーム・デポで職があっただけだった」ため、フェアに参加した。
オーストラリアが米国で最初の求人フェアをヒューストンで開催したのは、「建設、石油、天然ガスといった産業部門で労働者13万人を抱える労働市場であるためだ」とオーストラリア移民・市民権省のスポークスマン、サンディ・ローガン氏は言う。同氏はまた、オーストラリアとテキサス州は共通のものがあると指摘。「英語を話すし、マクドナルドはあるし、少し違ったフッティー(フットボールのオーストラリア俗語)があるだけだ」と語った。
オーストラリアの労組は、企業は米国人を募集するのではなく、まずオーストラリア人を訓練すべきだと主張している。同国労組協議会のゲッド・カーニー会長は「オーストラリアの労働者は、資源ブームの恩恵を受ける機会を与えられるべきだ」と語った。
これに対し、企業側は時間がないと反論している。ウェストオーストラリア州商工会議所の代表者リンジ-・オサリバン氏は「企業は労働者を訓練するのに4年も5年も待てない」と語った。同氏は労働者25人を求めている複数の企業を代表してヒューストン入りしている。これら企業は給与を10万-50万ドル支払う用意があり、50万ドルの仕事は石油掘削リグのエンジニア職だという。
オーストラリア政府当局者は、外国人労働者向けに募集広告を出す職について、企業は「(人手の)供給不足」にある範ちゅうに入っていることを証明しなければならないと述べた。しかし同時に、熟練労働者が海外から流入しない場合、合計1000億ドルに達する幾つかの鉱山プロジェクトは遅れる恐れがあると述べ、そうなればオーストラリア労働者に打撃になりかねないとも指摘している。
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オーストラリアの鉱山で技術者の外国人求人があるというお話。
オーストラリアとテキサス共通のものがあるから米国人技術者にとっても働きやすいとはその通りだと思う。
どんなに良い賃金、待遇でも実際その生活環境に適応できなければ継続できない。
オーストラリア国内の失業者を優先すべきという意見と、それでは鉱山プロジェクトが遅れるというジレンマに陥っているようだ。

By MT

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