2012年5月26日土曜日

米国人も魅了する「料理の鉄人」

産経新聞 5月26日(土)12時20分配信

【日本人が知らない日本】

 「アイアン・シェフ(料理の鉄人)が大好きなんだよ。見たことある?」

 米国人の取材相手と食事を共にすると、かなり頻繁に話題となるのがテレビ番組「アイアン・シェフ・アメリカ」。かつて日本で人気番組となった「料理の鉄人」のことだ。米国でも人気だと聞いていたが、「まさかここまで」というのが率直な感想だ。

 米国版を放送するのは、食べ物に関する番組に特化したテレビ局「フード・ネットワーク」。米国では当初、日本版「料理の鉄人」が字幕や吹き替えで放映されていたが、その人気ぶりを目の当たりにした同局が番組構成などのフォーマット権をフジテレビから購入し、2004年に本格的な米国版を電波に乗せたという。

 スポーツ中継のように料理人の動きをカメラが追いかけ回し、普段は厨房(ちゅうぼう)の奥に隠された技巧を白日の下にさらす。好奇心と胃袋を同時に刺激する斬新な手法は、米国人の心も存分に揺さぶる。

 米国の取材相手も「意外性やスピード感、そして何よりおいしそうな料理の映像に興奮させられる」と番組の魅了を熱心に説く。

 日本版で俳優の鹿賀丈史氏が演じた架空団体「美食アカデミー」のコミカルで風変わりな主宰者役には、ギリシャやフィリピン、日本などの血が流れるエキゾチックな顔立ちが印象的な俳優、マーク・ダカスコス氏(48)が務めている。

 おもしろいのは、番組の演出で、ダカスコス氏に鹿賀氏の「おい」の立場を与えられていること。何かにつけて「僕の叔父も言っていたけれど」と本家本元を意識した発言を連発し、調理スタートを告げる台詞も鹿賀氏が用いた「アレ・キュイジーヌ」をそのまま継承した。

 実際のダカスコス氏は大会での優勝歴もある空手やカンフーの達人という。番組内では視線を動かしたり、細かい動作を繰り返すたびに機敏さを表すのであろう「シャキーン」「シュッ、シュッ」と奇妙な効果音が付随して笑いを誘う。

 番組ホームページなどによると、米国版には米料理やイタリアン、ギリシャ・地中海料理など7人の「鉄人」がいる。このうち「日本料理の鉄人」は、日本版でも3代目「和の鉄人」を務めた森本正治氏だ。

 番組は高まる人気を追い風に10年1月、オバマ政権の協力を得てホワイトハウスにも進出。鉄人の一人、ボビー・フレイ氏がホワイトハウスの料理長とタッグを組み、別の鉄人ペアと勝負する企画を放送した。

 ホワイトハウスで実施された部分収録には、子供の肥満問題に取り組むミシェル・オバマ大統領夫人が登場し、鉄人たちと歓談しながら、食育の重要性を訴えた。

 フレイ氏は09年6月にもホワイトハウスを訪れ、エプロン姿のオバマ大統領にバーベキューコンロでの肉やトウモロコシの焼き方を教えるなど、いまや押しも押されもせぬ「セレブリティー・シェフ」の一人だ。

 折からの日本食ブームに「料理の鉄人」が相乗効果を生み、日本独特の食材が米国の一般社会に深く浸透していったことも見過ごせない。

 いまや他の料理番組でもダシ(出汁)やパンコ(パン粉)、ワサビなどは説明不要の食材として頻繁に登場する。米国人の料理人がウニや八丁味噌、小豆など、米国ではあまり見かけない食材を巧みに使って料理を仕上げることも珍しくない。刺身や寿司など生ものへの抵抗感を少なくした影響も少なくない。

 米国版「料理の鉄人」のヒットは「コピーは上手でも、創造は苦手な日本人」と揶揄される日本人像を返上する好機ともなりそう。

 なお、日本の一部ケーブルテレビ局なども番組を“逆輸入”しており、視聴が可能という。(ワシントン 犬塚陽介)

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「料理の鉄人」が映像翻訳されアメリカで大人気だったとは知らなかった。
ましてやアメリカ版「料理の鉄人」がありホワイトハウスにも進出したとは。
多言語翻訳して発信すれば各国で反応があるのではないか。
ナレーション等も日本の番組を模したというアメリカ版「料理の鉄人」をぜひ見てみたい。

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